NHK Web記事掲載

更新日:7日前



北海道下川町 移住者と地元の人たちのステキな関係

道北チャンネル 2021年10月23日(土)午後6時39分 更新

人口減少や少子高齢化が地方で深刻化する中、多くの自治体が移住促進策を講じています。北海道北部にある人口約3000の下川町もそのひとつ。面積の9割を森林が占める小さな町ですが、この5年間で100人近くの移住者がやって来ました。地方への移住・定住をより増やす方法を考えるときにとても参考になる、移住者と地元の人のつながりを見つけました。 教職を辞め下川町にやって来た“新米”移住者 2020年、幼い娘を連れ家族3人で下川町に移住した大石陽介さん(33)。 下川町が募集した起業型地域おこし協力隊「シモカワベアーズ」に応募し町へやってきました。大石さんは旅行者や移住希望者に、ありのままの下川町を紹介する「ぐるっとしもかわ」という事業を立ち上げました。町を訪れた人の興味に沿って、農産物の生産者や工芸品の作り手など町の人たちのもとへ案内するというもので、観光地ではない下川町ならではの「新しい旅のカタチ」を目指しています。

大石さんはもともと静岡県出身、県内の大学を卒業し、小学校教諭をしていました。青年海外協力隊(JICA)としてモンゴルで活動する経験などを積むうち、「歳をとってからではなく、今やりたいことをやろう」という思いが強くなり、仕事をやめ北海道に渡りました。 旅の拠点「キャビン」製作を町の人も応援 2021年1月から約半年をかけて、大石さんは旅の拠点となる小さな宿「キャビン」を作りました。自ら設計図を描き、町の中心部にある倉庫を借りて作業スタート。町の製材会社に安く分けてもらった建材や断熱材を自分で切り揃えました。


最初はひとりで始めたキャビン製作でしたが、作業が進むにつれ多くの人たちが手伝ってくれるようになりました。最終的には町の内外あわせて100人を超える人たちが協力してくれたそうです。 大石さんのキャビン製作に協力した地元の人は「外から来た移住者は、地元の者にはない発想で新しいことをやっている。その姿を見て『人生楽しそうだな』とウズウズして、自分も起業することになった」と話してくれました。


移住者を応援する“歴史的”な理由? それにしても、なぜ、こんなにも多くの町の人が、1年前に町にやってきたばかりの移住者に協力してくれるのか?町の人に問いかけるといくつかの理由が返ってきました。ひとつは町の歴史に関係するという説。かつて下川町は林業と鉱山でにぎわい、1955年には人口は15,000を超えていました。町で働こうと町外から人が次々とやって来たため「よそ者」が住み着くことに抵抗を感じなくなったというもの。もうひとつの説は、その後の急激な人口減少で住民が危機感を共有したこと。1980年の国勢調査で下川町は人口減少率が北海道1位、全国4位を記録。「これ以上、人が減ったら町が成り立たない」と移住者を大切にし、何とか定住してもらおうと応援する気質が染みついたのだ、というものでした。 移住者と地元の人のステキな関係 大石さんが下川町に移住した決め手は実は「人」だったそうです。何度か町を訪れるうちに、多くの魅力的な人たちと知り合うことが出来たのです。「下川町には『何とかなるべや!』と前向きに応援してくださる方が多く、手伝ってもらいたいことがあれば親身になって手伝ってくれる。それが下川町の魅力、『ひと』だと思う」と大石さんは言います。 移住者が地元の人の刺激になって町が活気づき、活気づいた町にまた移住者がやってくる。北海道北部の小さな町、下川町でいい循環が始まっていると感じました。 6月、無事に仕上がった大石さんのキャビンは、たくさんの町の人たちの手で倉庫から運び出され今、美しい森の遊歩道の入り口に置かれています。ガイド付きの宿泊プランもスタートします。今後は下川町の魅力や町の人たちの素顔を、旅行者や移住希望者に伝えていく拠点になっていくはずです。

(付録)“起業型”地域おこし協力隊「シモカワベアーズ」とは? 大石さんが応募した「起業型地域おこし協力隊 シモカワベアーズ」とは何なのか?普通の地域おこし協力隊とは少し違う、「起業型」というところにポイントがありました。 地域おこし協力隊とは総務省が設けた制度で、都市部から地方に移住した隊員が生活費や活動費の支援を得ながら地域協力活動を行い、その後の定住・定着を促す取組みですが、下川町ではこの地域おこし協力隊の制度を活用して、より直接的に地域での起業を促す「“起業型”地域おこし協力隊」の募集をしているんです。 都市などから起業家の卵を呼び込み、地域と密接に関係した事業の展開を目指すのがねらいです。隊員は起業した事業がうまくいけば自分で稼いで生活していくことができます。町にとっては、事業が軌道に乗れば移住者が定着し町の人口が増えるうえ、うまくすれば雇用の創出や地域の課題解決などメリットも望めるわけです。 下川町は現在、全産業と行政が連携した下川町産業活性化支援機構に移住関連の窓口を一本化。「タウンプロモーション推進部」を創設し、「ワンストップ」の移住促進策を講じています。下川町での仕事や住居の紹介、移住後のサポートまで網羅していて、自治体の移住者獲得への真剣さが伝わってきました。


https://www.nhk.or.jp/hokkaido/articles/slug-n0327c96fc9e7






24回の閲覧0件のコメント